outside『進化』

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「何故だッ!何故ッ!!」 両腕を切断されたシックスはグレイプニルを患部に巻き付けることで止血するも、じわじわと滲み出る血液が床に赤い点を作っている。 完全に自身の力を俺に凌駕されたシックスはただ同じ言葉を繰り返す。 「取り敢えず死んでワンペに詫びとけや」 冷めた眼差しを送りつつレーヴァティンを大きく頭上に振りかぶる。 「ハ…フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」 狂ったようにシックスが笑い出す。とうとう何かが脳に来たか? 「私は死なぬ!神より力を授かった私が死ぬわけがないのだッ!!」 神…だと…… その言葉に沖縄の船内で出会った七瀬さんの会話が思い出される。 『この世界はね……ゲーム盤なのよ。神が人間と魔物の戦いを見て楽しむ為のね』 『アナザーは神を倒し魔物を一掃することに理念を見いだしている。対するマイスは神と戦うのが怖くて現状維持に理念を見いだした』 シックスの言葉で点が線に繋がった。 マイスは神を恐れて戦わなかったんじゃない。神の傀儡だからこそ戦わなかったんだ。 そうなるとシックスを殺すのはマズい。 現状、七瀬さんの発言を裏付け出来るのも、神への手掛かりも目の前の老人が握っているのだから。 「ちッ」 ワンペの弔いにコイツを地獄に送ってやりたいが……すまんワンペ、少し待ってくれ。
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