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有り得ん。
このわりと平和な世の中を魔物でイッパイにするってか。
契約者以外ってコトは当然俺の数少ない友人や家族も入っている。
他の契約者にしたってそれは同じだろう。
ホイホイとラグナロクなんか起こそうと着いていくヤツは少ないはずだ。
「イチノセよ、レーヴァティンと契約したお前は此方寄りのはずだ!今からでも遅くない、我々と共にラグナロクを―――」
言いかけたシックスの頭部が音もなく左右に割れる。
「喋り過ぎなんですよ……」
頭部から血を吹き出しながら崩れ落ちるシックスの身体を前に、後ろから聞こえた声に振り向けば―――そこにはフルンティングを右手に構えたセブンデイルが立っていた。
ヤツの右手は切り落としたハズなのに……
「何故私の右手が繋がっているか分からないという表情ですね。一応お答えしておきましょうか」
フルンティングを俺に見せるように前に出したセブンデイルは続ける。
「私のアーティファクト、フルンティングは血を吸い強度を高めます。しかし、それはフルンティングの能力の一面。本来の能力は血液を操ることです」
血液を操るって割には俺に手を落とされた時にダダ漏れてた気がするが。
「予想外の攻撃だったので少々血を失いましたが――見た目よりは出血は少ないです。そして能力を使えば分断された手首もこの通り」
フルンティングを一振りして見せたセブンデイルの右手に違和感は感じ取れなかった。
「右手を落とされたのも予想外ってか?」
「はい、予想外だっただけです。まさか完全に拘束したグレイプニルから抜け出せる人間がいるとは思いませんでしたから」
そりゃどーも。
負け惜しみ臭がプンプンするけど本題に入るとするか。
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