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―アインスside―
フィアのヤツ……一人で大丈夫って言ってたが、本当に大丈夫だろうか?
念のために(黙って)着いて来たが、フィアがレーヴァティンの契約者の部屋に入って数分、室内が騒がしくなったな。
まさか、こんな街中でアーティファクトを使った戦闘はしないだろうが、最悪の場合は俺が颯爽と登場してフィアを助けよう。
きっと、そんなカッコいい俺の姿を見ればフィアも惚れるに違いない。
おっと、妄想で頬が緩んじまった。
ん?通行人がコッチを見てるな。そんなに外国人が珍しいか?
ん?紺色の制服を着た男2人が近付いてくる。
「不審者との通報がありました。とりあえずビザを確認させて下さい」
「そんな電柱の陰からどこを覗いてるんだ?」
……どうやら日本のポリスらしい。
日本語で言われても分からないが、職務質問されているようだ。
首を傾げた俺にポリスは何か言うと、肩に手を置き前に進むように促された。
フィアがヤツの部屋にいるのにこの場を離れる訳にはいかない。
肩に置かれた手を払い説明しようとした瞬間、手を払うために振った手がポリスの顔面を直撃。鼻血を流して後ろに倒れてしまった。
「抵抗するのか!?」
騒然とする辺りの空気。
倒れたポリスに駆け寄った同僚のポリスが腰に下がる拳銃に手を掛けるのが見えた。
これはヤバ過ぎる。
個人的に入国しているので組織に迷惑が掛かることはないだろうが、そんなこと関係なしにポリスに捕まるのはマズい。
後ろ髪は引かれるが仕方ない、フィアが居る部屋を背に一目散に逃げ出す俺だった。
―アインスside out―
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