link『俺の邪気眼発動』

6/17
前へ
/317ページ
次へ
「ねえな……」 職安の中、横一列に並べられたパソコンを使い求人情報を検索するものの、これと言って心惹かれる求人が見当たらない。 やはり無資格だと給料の良い仕事は壊滅的である。 俺の隣に座り、求人情報を検索する頭頂部が散らかったオジサンの姿が自分の未来像かと思うと本気で焦りを感じてしまう。 とりあえず、検索条項の給与30万を25万まで落として再検索してみやう。 ◇◇◇◇◇ 職が見つからないままに年月は過ぎていく。 お決まりのフリーターとなった俺は日々の食い扶持を稼ぎその日暮らしをしていた。 街金には借金が数百万と典型的な駄目人間である。 「今晩の飯代がねえ……」 財布の中には綺麗な銅色の硬貨が数枚。汚れた銅色じゃないのが逆に憎らしい。 今月に入ってから何回目の晩飯抜きだろう。いい加減、栄養的にも体重的にもレッドゾーンに突入しそうだ。 そんなことを考えていると、玄関扉がドンドンとけたたましく叩かれる。チャイムの電池を変える金が無いので鳴らないためだろう。 空腹でふらつく足を引きずり玄関扉を開くと、そこに立っていたのはアパートの大家と青いツナギ……もとい、黒いスーツを着た体格のいい男2人。 「一ノ瀬さん、もう待てないよ。出て行ってもらう」 大家の言葉に黒スーツの男が俺の両脇を抱えた。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11369人が本棚に入れています
本棚に追加