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―フィアside―
ベッドに腰掛けテレビを見ながら、ふと時計を見上げる。
ユーヤが契約に入って1時間くらい。一般的なアーティファクトなら20分もあれば終わるのに……これは失敗かしら。
時折ビクビクッと痙攣してるし予定外の状況ね。
勢いでリンクしろと言ったはいいけど、このまま自我が崩壊されるのも後味悪いわね。
「あんま気が進まないけど仕方ないわ」
右手を前に出し意識を集中。
「Summons Kerykeion」
呟いた次の瞬間、右手の中には一本の杖が握られていた。
2匹の蛇が絡まりあったい白い一対の翼が意匠された杖。これが私のアーティファクト。商業の象徴とされるケーリュケイオンである。
単純な攻撃力の点ではアインスが持つエッケザックスやユーヤがリンクしようとしてるレーヴァティンには到底適わないけど、ケーリュケイオンは攻撃に特化したアーティファクトじゃない。
伝達の杖とも呼ばれるケーリュケイオンは後方支援にこそ特化したアーティファクトだと言えるだろう。
あ、後方支援に特化してるってだけで攻撃力が無い訳じゃないので悪しからず。
そんなケーリュケイオンを使うのは気が進まない。
理由は簡単。
アーティファクトとリンクするのは契約者の自力でなくてはいけないと言う不文律が存在するから。
アーティファクトに選ばれるコトと、アーティファクトと契約出来るコトは別なのだ。
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