link『俺の邪気眼発動』

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例えばの話、ここでユーヤがリンクに失敗すればレーヴァティンは消え去り再び眠りに着く。新たな契約に相応しい人間が現れるまで。 組織の記録上、数百年という長い年月の中レーヴァティンとの契約者は2人しかいないが、所有者だった人間はその10倍に上る。 それだけの人間がレーヴァティンに選ばれたものの、契約には到らず自我を崩壊させ死んで行ったのだ。 つまり――― このままでは過去の多数の者達の中にユーヤの名前が連なってしまう。 しかも、今までの者達のように「自ら力を求めて」ではなく、私によって強制的に…… これで廃人になられたら寝覚めが悪すぎる。 ビクビクと痙攣するユーヤを目の前にすると、多分大丈夫だろう程度の気持ちで契約に向かわせた自分が恥ずかしく罪悪感を覚えてしまう。 これからする行為はアーティファクトの不文律に反することだ。きっと組織からも何か言われるだろう。 でも、やらなければ十中八九ユーヤは廃人になる。 これはユーヤの為じゃない。私自身の浅慮な我が儘が招いた結果の尻拭いだ。 「Connect―――」 杖の先端をぐったりと転がるユーヤの胸に押し当て集中する。 ケーリュケイオンの能力の一つ、対象の心に介入するスキル。 主に尋問で口を割らない相手に使用することが多いスキルだけど、精神を汚染するレーヴァティンとの契約にはきっと有効だろう。
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