link『俺の邪気眼発動』

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杖が淡く光り、目を閉じた私の意識の中に映像が浮かび上がる。ユーヤの深層心理だ。 ここは……河川敷?サラサラと音を立てて流れる川、夕焼けに染まる堤防、街の喧騒もなく静かな茜色に染まるロマンティックな景色の中、そんな景色に似つかわしくない光景が繰り広げられていた。 数人の武装した若者達と、彼等から暴行を受けている初老の人物。 この世界に存在するのは本人であるユーヤと浸食しているレーヴァティン、そしてケーリュケイオンのスキルで侵入した私だけ。 つまり、絶賛暴行中の若者達がレーヴァティンで、埋くまり殴られるままの初老の人物がユーヤなのだろう。 「ってゆーか……ヌルいわね」 精神を汚染し自我を崩壊させると言われる上位のアーティファクト。その精神攻撃がコレとはお粗末すぎる。 他の上位アーティファクト契約者から聞いた話では、曰わく「ゾンビがダース単位で襲って来た」や、曰わく「一個大隊相手にナイフ一本で挑まされた」や、曰わく「美女数百人から代わる代わる搾り取られた」など最後のはどうかと思うが、大半は人の力では立ち向かうのが困難な状況が創り出されるはずだ。 それなのに……この状況は何なのかしら?どこにでも居そうな不良に絡まれてるだけ。 アーティファクトが契約しようとする者に行う精神攻撃は、対象者に対して最も効果的なものが選択される。
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