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なんで……スキルは確かに発動したのに。
「ふ…フハハハハハハハハ!」
「な…何が可笑しいのよ!?」
再び立ち上がり哄笑を上げるダークユーヤに私の苛立ちが突き刺さる。
「何が可笑しいって?力の差にも気付かずに攻撃される気持ちがお前に分かるか?これが笑わずにいられるか?」
レーヴァティンを持っていない左手を顔に当て笑いを噛み殺すダークユーヤに私の心は一気に冷めた。
確かにアーティファクトにも強弱序列は存在する。
私の持つケーリュケイオンはそのスキルから強に分類されるが、総合的な面から見ると序列は低い。
対するレーヴァティンはどちらを取っても最上級。契約したばかりなら大丈夫だろうと思っていたけど大丈夫じゃなかったらしい。
まさか契約したばかりでこれほどの差が生まれるとは思わなかった。
完全に予想外だ。
ここは一旦退いて体制を整えてから仲間達とダークユーヤが暴走しないように止めるしかない。
たとえそれがユーヤの命を奪うことになったとしても……
私は己の甘さが招いた事態として一生背負っていく。
「おいおい、なーにを考えてんだか知らんが、隙だらけだぞ」
数瞬、思考に耽ってしまっていたらしい。不意にした声に視線を合わせると、ダークユーヤがレーヴァティンを振り上げていた。
「Protection!」
“拒絶する壁”
瞬時に杖を前に構え、攻撃に備えた不可視のシールドを展開する。
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