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「んっ……ふわぁぁぁぁぁ」
一つ大きく伸びをした俺は辺りを見渡す。
積み重なった週刊少年誌の山、食いきったコンビニ弁当の空容器、飲みかけのペットボトル。
ベッドにパソコン、間違いなく俺の部屋だ。
俺は寝てたのか?
記憶を手繰り寄せ……ようと思ったら、目の前に広がる桃源郷。
座った体勢の俺に対して、杖を構えたフィアが仁王立ちしていた。
水色と白のストライプか、悪くない。だが敢えて言わせてもらおう。
「純白こそが神の色であると!」
「またかぁぁぁぁぁぁ!」
ボグゥという鈍い音と共に俺の視界が水色と白の桃源郷から色褪せた緑色をした畳に一気に変わる。
あっ、なんかデジャヴ。
「そぉい」
「ひっ!」
不意に口から零れた言葉にフィアがビクッと飛び退く。
何でだ?ポロッと口から出たんだが、何故にフィアがそんなに驚く必要がある?
……何か思い出せそうで思い出せない。気持ち悪いな。
「つか、いきなり人を撲殺しようとすんなや」
後頭部をさすりながら身を起こす俺に、フィアは引きつった表情を浮かべ、尻を両手で隠すようにして固まっていた。
「何故に尻を隠すし?」
いくら俺に女性経験がないとはいえ、そんな心配しなくても襲わねぇよ。俺に襲われたきゃ胸の辺りを豊かにしてから出直してこい。
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