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「久しぶりね」
「そうね、半年ぶりかしら?」
カウンターの女性に話し掛けるフィア。
口振りからすれば、ここには何度か来たことがあるのだろう。
「彼が新しい契約者?」
女性が俺を見て微笑む。
うはっ、テラカワユス。
年齢は俺と同じか少し上くらいか?エンジェルリングが光る肩下までの黒髪。少し目尻の下がった柔和な顔立ち。声優になれば?と言いたくなるような甘い声。か細くも柔らかな雰囲気を醸し出すその容姿。
そして特盛り!
どストライクだわキタコレ。
フィアが案山子なら彼女は女神だな。
「何よその締まりない顔は」
「大丈夫だ、問題ない」
彼女のあまりのステキさに顔が緩んでいたか。
フィアの目つきが恐いが気にしなーい。
「ニコニコ金融『萬田』にようこそ」
は?
あれ?
アーティファクトの組織じゃなかったの?
おやおや?
予想外の言葉にポカンとする俺を見てクスクス笑う彼女。
「冗談ですよ、ようこそMyth(マイス)へ私達は貴方を歓迎します」
冗談かい。なかなかユーモアも持ち合わせてるらしい。
俺は彼女から差し出された右手を握る。
ああ柔らけぇ。癒される。
「私は五十鈴弥栄(いすず やえ)。浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)の契約者よ」
「じょうはりのかがみ?」
俺が聞き返すと弥栄さんの右手が離される。ああ、名残惜しい。![image=422194552.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/422194552.jpg?width=800&format=jpg)
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