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「そう、浄玻璃鏡。閻魔様が亡者の生前の罪を映し出す為に使ったと云われる鏡よ。これに姿を映された状態でウソを吐くと……」
「吐くと……?」
半眼になり妖しい雰囲気を纏った弥栄さんの溜めに、唾をゴクリと飲み込んだ俺は続きを促す。
「舌を抜かれます。なので悪さはしないようにお願いしますね」
再び明るい雰囲気に戻った弥栄さんは小首を傾げて笑顔を浮かべる。
「ぜ…善処します」
怖ぇぇぇぇぇ!地味に怖えぇよ!あの雰囲気は本物だった!絶対本物だよあれ!
彼女に嘘は吐かないようにしよう。本当に俺の舌がサヨナラしかねん。
「それで貴方は?」
おっと、俺としたことが自己紹介を忘れるとは。第一印象は大切だ。ここはカッコよく決めねば。
今こそ鏡の前で練習した“自分が一番良く見える角度”を駆使する時だ!
斜に構えて軽く顎を引き、右手はポケットの中へ。
もう“スチャッ”とか擬音が聞こえてきそうな体捌き。
「俺は―――」
「彼はイチノセ ユーヤ。レーヴァティンの契約者よ」
うがぁぁぁぁぁぁぁ!
フィアのヤツ、被せるとかなんぞ!?
俺の!俺の自己紹介を返せ!こーゆー日の為に用意してあった「気になるアノ娘のハートをがっちりキャッチ」な俺の自己紹介タイムを返せ!
あんぐりと口が開いたまま閉じなくなってしまった俺に、フィアは「ふふん」とでも言いそうなドヤ顔になっていた。
わ ざ と か !
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