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「いや、俺も何だかよく分からないんだけど―――」
俺は弥栄さんと周囲にいる人達に今に至るまでの話を語った。
海外旅行で指輪を見つけた事からフィア達に追われた事、日本に帰ってきて一週間目にして再びフィアがやって来て強制的に契約させられた事。
始めこそ頷きながら耳を傾けていた一同だが、レーヴァティンとの契約に至る場面になると表情が険しくなった。
「――で、現在に至る訳です。はい」
一通り話終えると弥栄さんはこめかみに青筋を浮かべ叫ぶ。
「フィアーーー!どういうコトなのかしら!」
キッと擬音語が聞こえそうな眼差しを向けた先、フィアはいなかった。
「逃げたわね」
俺も視線を先程までフィアが居た横に向ければ、そこにはフィアの姿はなく半開きになった唯一の出入り口である扉が目に入る。
あんにゃろ……分が悪くなるのを見越して逃げたのか。
「すいませんでした。契約者にならず、所有者のまま一生を終える選択肢もあったのに……」
「いや、弥栄さんが謝らんで下さいよ。悪いのはアイツなんですから」
全く、弥栄さんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぜ。
「それに悪いことばっかじゃないですから」
「そうなんですか?」
ここだ!決めろ俺!
「だって、お陰で弥栄さんに出逢えたし」
言ったぞぉぉぉぉぉ!
歯が浮きそうな台詞に若干鳥肌が立ったが、雑誌に載っていた『女の子は運命的な出逢いに弱い』との文言に則った最高の台詞だ!
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