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「まあ、一ノ瀬さんってお上手ですね」
むう。言ったはいいが、この返答じゃキャッチ出来たのか分からんな。
頬を染めるとか分かり易い合図があればいいんだが、生憎と此処はギャルゲーの世界ではないらしく、そんな分かり易いフラグは立ってくれないようだ。
「いやいや、ホントですよ」
まあ、弥栄さんが笑顔に戻ってくれたしいっか。さっきの形相はちょっと怖かったし。
「ところで一ノ瀬さんはこれからどうされますか?あっ私は三宅と申します。アーティファクトの所有者ですらありませんが、皆さんをバックアップさせて頂いてます」
話し掛けてきたのは年配の男性。年は45~50前半辺りか?白髪が目立ち始めた短い髪で温和な顔立ち。ノリの利いた濃い紺のスーツを身に纏い、街で見掛ければ「出来るサラリーマン」との称号を与えたくなるような容姿である。
「えっと…どうするかって言いますと、どんな選択肢があるんでしょう?」
ロマンスグレー漂ういい男ですよ。そりゃ敬語にもなるさ。
まあ、三宅さんは年上だから普通に敬語使うけどね。
「そうですね―――選択肢は3つ御座います」
頷く俺に三宅さんは言葉を続ける。
「一つは此方にて仕事を請け負い従事」
フィアが俺にやらせようとしてた本道だな。
「二つ目は那須にある施設で訓練を積んでから仕事に従事」
ほむ。此方も本道だが、まだレーヴァティンを使ったことがない俺としてはコッチのが良さそうだ。アーティファクトの性質上、ぶっつけ本番だと危険な香りがプンプンしてくるしな。
「三つ目は此方で仕事を受け、誰か補佐を付けて仕事に従事」
補佐か……当然慣れた人が付いてくれるんだろうし、現場で戦って慣れろ方式だな。
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