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「畏まりました。それでは此方の契約書を読まれてからサインをお願いします」
三宅さんはサイドテーブルから数枚の書類を選別して俺に差し出してきた。
うは。文字がゴマのようだ。これ読むのに虫眼鏡いるんじゃね?
渡された紙は二枚。一枚はゴマ文字でビッシリと埋め尽くされ、もう一枚は普通サイズの文字で契約書と書かれ署名欄がある。
これは……
一ノ瀬裕也っと。
え?読みませんよ。あんな目がチカチカするようなゴマ文字。携帯小説より小さい文字とか読んでられません。
「これでいいですか」
「はい、確かに受け取りました」
俺のサインの入った契約書を確認した三宅さんは席を立ち、契約書をパーテーションの向こうへ持って行った。
「これで一ノ瀬さんも正式にマイスのメンバーですね」
おおっ、笑顔の弥栄さんが眩しいぜ。いつかこの笑顔を俺だけのものに―――
『ならば奪えばいい……』
奪う?それもいいな。こうカッコよく奪い去る感じ……ん?
「弥栄さん、今何か言いませんでした?」
「マイスのメンバーですねって」
「いや、その後に奪えばいいとか」
「いいえ、言ってませんよ」
およ?幻聴か?疲れが溜まってんのかな。考えてみれば、レーヴァティンと契約させられて即日この場にいるわけだし疲れもするか。
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