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「こちらが部屋の鍵になります。後程ご案内しますので少々お待ち下さい」
パーテーションの向こうから戻ってきた三宅さんに渡された一枚のカードキー。
つか、カードキーが設置されてるのかよ。部屋が広けりゃ小汚い建物でもいいやと思っていたが、これは期待感がパないぞ。
カードキーを片手にウハウハしていると、不意にピーピーと電子音が室内に鳴り響く。
俄かに騒がしくなる室内。
なんぞ。避難訓練?
パーテーションの向こうでは電話が鳴る音に会話する声、乱暴に開けられたのかファイル等を締まってあるキャビネットの扉が開かれる音が響き渡る。
「これは……ちょっと失礼します」
一言言い残し三宅さんは再びパーテーションの向こうに消えていった。
「どうしたんですか?」
テーブルの横、一人掛けのソファーに座り緊張の面持ちをパーテーションの向こうに向ける弥栄さんに尋ねてみる。
「魔物が出たようです」
は?
魔物って言ったか?
魔物って言ったよな。
えっと、平成も二十年以上過ぎた今の世の中に、しかも日本の東京に魔物?テラワロス。
実はヤバい組織だったのかココ。主に頭的な意味で。
契約書にサインしたの早まったかな。
「すみません、五十鈴さんお願いします」
そんな中、パーテーションの合間から顔だけ出した三宅さんが弥栄さんに声を掛けた。
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