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「分かりました」
席を立つ弥栄さんの表情は真剣そのもの。脳内魔物じゃなく、本当に魔物はいると思わせるに充分な表情だ。
「九重さんは?」
「まだ連絡がつきません」
「場所は?」
「赤羽南部住宅地です」
「対象と数」
「対象は不明、数は十数匹とのことです」
矢継ぎ早に応酬される二人の会話に否が応でも俺の緊張は高まる。
「車は?」
「正面に。九重さんとの連絡がつき次第すぐに出られます」
さっきからチラホラ出てくる九重さんってのが契約者なんだろうな。聞いた限りだと弥栄さんの浄玻璃鏡は尋問とか拷問向きで戦闘向きじゃなさそうだし。
「肝心の九重さんは?」
「携帯にかけていますが繋がりません」
弥栄さん、三宅さん共に困った顔をしている。
「他にアーティファクト契約者って居ないんですか?」
此処はアーティファクト契約者が集まる組織“Myth”(マイス)の支部。弥栄さんがそうであるように、他にも契約者がいるだろうに。
「…一ノ瀬さんが思っているほど契約者の数は多くないんですよ」
「この支部で契約者は五十鈴さんと九重さんだけです。他はアーティファクトを持たない一般人で構成されています」
あら意外。てっきり全員が契約者ないし所有者だと思ってたんだが違うのか。
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