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さて、これは死亡フラグか覚醒フラグか。選択肢を間違えれば享年23歳になりかねん。
「お願いします一ノ瀬さん!」
「…行きます」
だって弥栄さんが両手で俺の手を握ってお願いしてるんだよ。断れるわけないじゃん?
決して両腕に挟まれた窮屈そうなきょぬーに意識が行ってて反射的に答えちゃったわけじゃないからね!
「ありがとうございます!」
まあ、弥栄さんのこの笑顔が見られただけでも役得か。引き受けちゃった以上は死なない程度に頑張ろう。
「訓練もままならないままに申し訳ありませんが宜しくお願いします」
「いや、そんな頭なんて下げないで下さいよ。出来ることはしますけど期待はしないで下さいね」
急いで頭を下げる三宅さんに言うが、三宅さんの頭は上がらない。両手はズボンの横、縫い目にピッタリと合わされ見た目に美しい完璧な謝罪のポーズだ。
俺が頭を下げたら敗北感で溢れるのに、三宅さんからは誠意しか伝わってこない。
なんか三宅さんと接してたら、汚れきった俺なんか浄化されそうで怖いわ。
「命を賭けられる契約者の方々に出来ることが、頭を下げるのみと云う無力な私ですが、どうか宜しくお願いします」
あ、やっぱ命賭かるのね。だからこその高待遇と報酬って訳か……納得。
「行きましょう。だいぶ時間をロスしてしまいました」
俺の手を引き扉に向かい走り出す弥栄さん。
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