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「お待たせしましたっ!」
十村さんの言葉と共に華麗にスピンターンを決める車体。
「きゃっ」
念願叶って停車してくれたのは良いが、止まる直前のスピンターンにより弥栄さんが俺に向かってダイブ。
予想外の弥栄さんからのアタックに俺は為す術なく長椅子とボックスの間の床に撃沈。
かろうじて危険物を吐き出すことは食い止めたが、俺の上には弥栄さんが覆い被さっていて息苦しい。
いや、この息苦しさはステキな息苦しさのハズだ。だって顔を覆うのは柔らかな物体だもの。きっと『アレ』だろう?女性特有のあの部分。弥栄さんの特盛りなんだろう?
となれば、することは一つ。
くんかくんか。
すーはーすーはー。
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
こぷぅ!
視界が開けたと同時に打ち込まれた鳩尾への一撃。
俺の目に映ったのは弥栄さんの背中。
おや?何故に背中が見える?俺の顔に押し付けられていたのが胸なら正面の姿が見えるはず……
ああ…そうか理解した。
俺に覆い被さっていたのは胸ではなく尻だったのだ。
そりゃ、尻をくんかくんかすーはーすーはーされれば女性なら鳩尾への一撃も当然入れたくなるだろう。
そんなことを頭の片隅で考えつつ、俺は口から危険物を吐き出しながら完全に沈黙した。
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