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「きゃあっ、ごめんなさいごめんなさい!」
「すいません!初めての方だったんで張り切り過ぎました!」
弥栄さんと十村さんの謝罪の中、口と目から汁を流しながら早くもマイスに入った事を後悔し始めた俺だった。
◇◇◇◇◇
「いました…アレが今回の対象です」
微妙に薫る俺との距離を置き話す弥栄さん。
この距離感が切ないぜ。
そんな弥栄さんの視線の先、住宅地の電柱の陰に蠢く異形の生き物が俺の目に映る。
ソレは今まで生きてきた中で見たこともないモノだった。
しかし、周辺の住民なのか、道行く人々は道端の異形に気付くことなく自らの目的地目指し歩を進めている。
「何でみんな騒ぎ出さないんですか?明らかに…アレは騒ぎ出すには充分なモノでしょう」
電柱の陰から血走った目を此方に向ける異形。あんなのに道端で突然出会ったら、俺ならダッシュで叫びながら逃げ出す自信があるわ。
「それは局所結界のお陰です。あの魔物達は通常とは別の空間に固定してますから、アーティファクト所有者か契約者じゃないと見ることは出来ないんですよ」
なるほど納得……出来るかい!
「局所結界って何ですか!?そんなん有るなら戦わないで閉じ込めときましょうよ!」
わざわざ危険を侵して戦わなくたって、そんな便利な結界があるなら永久に閉じ込めとけばいい。
「局所結界は持続性が無いんですよ。魔物の強さによりますが、長くても一日。短ければ数分で破られます」
ほむ、意外と脆弱だな局所結界。それでは仕方ない。そんで、これからどうすんだ?
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