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「とりあえず私が結界を張ります。結界は局所結界と同じ空間なので魔物は動き出してしまいますが、空間が違う此方の空間には被害が出ません」
「結界内で家を吹き飛ばそうと?」
「家自体吹き飛びません。結界内の建築物は一切傷付くことがありませんから思う存分やれますよ」
つまり、決して壊れない障害物ってことか。
「了解。で、俺は何をすれば」
「私がサポートしますので殲滅をお願いします」
は?
あれ?俺言ってなかったっけ?まだレーヴァティン呼び出したこともないって。
ゴルフをしたこともない人間をコースに連れて行って自分がキャディやるからラウンドするよと言っているようなものだ。ムチャ振りもいいとこだろ。
「いや、さすがにそれは――」
「行きますよ!」
弥栄さんは周囲に人気がなくなったのを見計らい両手を前に出す。
人の話を聞けし。
「ちょっ……」
「浄玻璃鏡!」
制止しようと声を上げた瞬間、弥栄さんの前の地面からヌルリと現れた巨大な鏡。
高さニメートル、幅一メートルほどだろうか。四角い鏡の縁は木枠で囲われ、土台は細かい装飾の彫り込まれた漆塗りの台形をしている。
そして、その鏡面には一切の曇りもなく微妙な驚き顔の俺の姿を写していた。
俺の姿……?
うへっ、舌抜かれる!
一足飛びに鏡が写す範囲外へと退避する俺に弥栄さんがクスリと笑みを零す。
ああ、可愛いなー。
そんなコトを考えていると不意に視界が変わる。
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