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「初めて見るタイプです。気を付けて下さい」
冷静に言うなし。
初めての実戦なのに知らない敵とかどうせーと?バカなの?死ぬの?
…あ、この場合死ぬのは俺か。本当にありがとうございます。
「いやいや、アレをどーしろと?普通に触りたく無いんですけど」
「大丈夫。私も触りたくありませんから」
そこは聞いてねぇぇぇぇぇ!
どうするかを答えてくれよ!
「防護の楯!」
頭を抱える俺の前で弥栄さんの声が響く。
次の瞬間、後ろから聞こえるグチャッと云う泥を叩き付けたような音。
振り向いてみれば、俺の後ろには淡い緑色をした半透明な壁に張り付く異形の姿が見えた。
さっきの音は異形が壁に阻まれぶち当たった音だったのだろう。
「一ノ瀬さん……頑張って下さい!」
はい、丸投げ来たぁぁぁぁぁ!
「サポートはしますから攻撃はお願いします」
先にそっちを言わんかい。本気で丸投げされたと思ったわ。
とりあえず俺もアーティファクト出さないとダメだよな。初めてが実戦の中でとか俺のゆとり人生を考えれば異常なことだ。
しかし、それが俺の踏み込んだ(踏み込まされた)世界らしいのだから今さらグダグダ言っても仕方ない。
アーティファクトの発現させ方はレーヴァティンより得た知識にある。後は実践するのみだ。
いっちょやってみますか!
「一ノ瀬裕也、アーティファクト『レーヴァティン』行きます!」
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