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俺の言葉に反応し右手の前に数十センチ程の黒い靄が現れる。
中など覗けない、光など一切受け付けない黒い靄。俺はその中に何の躊躇いもなく手を突っ込む。
だって、正体が分かっているモノを恐れる必要はないだろう?
黒い靄の中、突っ込んだ右手が何かに触れた。
これが……俺は手に触れたモノを掴み、一気に引き出す。
黒い靄から引き抜かれる右手。その手の中には紅黒い軽く反った刀身の西洋剣が納まっていた。
これがレーヴァティン……
初めて見るが、初めて見た気がしない不思議な感覚。それどころか、使い慣れた道具のようにフィット感がハンパない。
しかし……
「見た目悪役の武器だなコレ」
紅黒い刀身に黒い柄、纏う空気は禍々しい。どう見ても悪役、四天王以上クラスの武器です。
まあ、文句を言ってても仕方ない。試運転がてら行ってみましょーか!
脳内の『レーヴァティンの使い方』知識から現状に則した技を探す。
出来ればアレには触りたくないので離れて攻撃出来て、尚且つ数も多いので範囲攻撃出来る技。
コンマ数秒で答えは見つかる。便利だな脳内図書館。
詠唱が必要だが、弥栄さんが防御に専念してくれているので大丈夫だろう。
レーヴァティンを前に構えると、俺の口からは俺自身見たことも聞いたことも無い言葉が紡がれる。『レーヴァティンの知識』から得た言葉なので何時の時代の言葉かも分からない。
分かるのは詠唱が終われば戦いが終わるということだけである。
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