Guild『初仕事』

37/46
前へ
/317ページ
次へ
発動キーに反応しレーヴァティンより解き放たれたエネルギーは地面の下を伝い、異形達の足元から黒い炎に姿を変え噴出。その身体を飲み込んでゆく。 地面より吹き上がり異形達を飲み込む黒い炎。それはまるで小さな噴火が彼方此方で起こっているような幻想的な光景だった。 「おおー、凄げぇな……つか、明らかにオーバーキルじゃねコレ?」 異形が黒い炎の中で形を保ってられるのは一時のみ。濡れた身体を瞬時に蒸発させ、炭化させるまでの時間は数秒に満たない。 数秒後、黒い炎の消え去った眼前には誰も居ない、何も居ない、黒いシミが地面に残るのみのセピア色の住宅地が残った。 「さすがレーヴァティンですね……一撃ですか」 弥栄さんの声に振り向けば、表情を固くして俺を…いや、俺が持つレーヴァティンを見つめていた。 「初仕事としてはどうでしたか?」 「申し分ありません。ただ…レーヴァティンを閉まってもらえませんか。邪気に当てられて…ちょっとキツいです」 邪気?そんなん出てるの? 確かに刀身から黒い煙みたいのが常に溢れてるが、コレが邪気ってヤツなのか? だとすれば、俺の第三の眼が開眼するのも時間の問題だな。 とりあえず、地面に突き刺すような形をしたレーヴァティンを持ち上げると俺はそのまま柄から手を離す。 本当はカッコ良く地面に突き刺して技を発動したかったんだが、事前の説明にあったように地面は硬く刺さらず、一切の傷も付かなかったのだ。 落下するレーヴァティンは地面に接触する直前、取り出した時と同じ黒い靄の中に姿を消していった。 「これで大丈夫ですか?」 「ありがとうございます。一ノ瀬さんはあの邪気の中でも平気なんですか?」 額にうっすらと汗を浮かべた弥栄さんが聞いてくる。 「いや、全然平気ですけど。むしろ普段より調子がいいくらい?」 そう。何故かレーヴァティンを握った瞬間、身体が覚醒したかのように力に溢れた。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11369人が本棚に入れています
本棚に追加