larvateinn『リア充』

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幅広の両刃剣。 柄は銀色で無骨ながらも美しさを兼ね備えた不思議な長剣だ。 って言うか、あいつは何処からあの剣を取り出したんだろう? あれだけの大きさの剣なら隠して持つのは不可能だ。 しかも、一瞬光ってから手の中に忽然と現れたんだよ。 手品にしても、出す物が趣味悪すぎる。 「凪ぎ払え、エッケザックス!」 男が剣を横凪ぎに振るい叫ぶ。 明らかに遠い間合い。 そんな距離で剣を振ったって当たるわけがない。 しかし現実は少々勝手が違ったようで、風を裂く音が聞こえた次の瞬間、俺の足元に走る一筋の斬り跡。 草は綺麗に刈り揃えられ、抉られた地面からは何故か湯気のような靄が立っていた。 落ち着け、落ち着くんだ俺! ここで取り乱したら最悪な事態に成りかねん。 「えっと……手品……?」 「まだ冗談を言う余裕があるのね」 嫌な汗を流し問い掛ける俺に答えたのはフィアと呼ばれた女の子。 冗談って何でしょう? そっちの方がよっぽど冗談なんですが。 「惚(とぼ)けるならそれでもいいわ。そのまま死んでレーヴァティンを渡しなさい!」 レーヴァティン? 神話にある武器の名前だよな? 渡せったって、そんな武器持ってねぇよ。ごく普通の一般ピーポーですよ俺。 社会的には底辺かもしれませんが…… そんな思考を巡らせていたが、奴らは待ってくれないらしい。 「アインスやりなさい!」 「だから年上に命令するんじゃねぇよ!」 どうやら男の方はアインスというらしい。 その一言が二人の関係を表しているようで、文句を言いながらも剣を振りかぶる。
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