第壱話

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時は幕末。 池田屋~ ?「ご用改めである新撰組だ!」 戸を開ける激しい音と共に響いてきたドスの利いた低い声。 ?「ここで浪士共が会議をしていると聞いて来たっ 中を調べさせて貰うぞ。」 店主「お待ち下さい!会議などやっておりません!」 そんな言葉も聞かずに中へ入ってくる新撰組。 小さな扉から様子を見る男が一人と15歳くらいの少女が一人。 少女「……ふっ」 男「落ち着くんだ柚羅(ゆら)お父さんが居るから。」 柚羅と言う少女の口を抑えながら優しく呟く男。 だが、柚羅の身体は震えを増すばかり……そう、人が斬られているのを身の前で見ているからだ。 男「お止め下さい! どうか命だけは!」 視点の合わない目で浅葱色の羽織を着た隊士にすがりつく。 ?「汚いてで私に触れないで下さい。」 そう吐き捨て浪士を斬り捨てると同時にいきなり口から血を吐き咳き込む隊士。 ガタッ 不意に押し入れの戸に足が当たってしまった。 ザシュッ 襖越しに突き刺さる赤色の刀そして強く抱きしめていた男の腕の力が弱くなり後ろから血が吹き出る。
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