第壱話

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家を出て幾ら夜が過ぎたかな?家の主は元気じゃろうか? カチャカチャ ?「柚羅。お使い頼まれてくれ」 柚羅「分かった時之助。」 買ってくる物とお金を預かり宿を出た。 ふと空を見上げると数匹のカラスがグルグルと空中で円を描いている。 柚羅「今日もいい天気だ。」 その時 ドンッ 柚羅に当たりしりもちを付く小さな女の子。 柚羅「すまない。よそ見をしていた……大丈夫か?」 パチンッ 少女に伸ばした手は、少女の手によって弾かれた。 柚羅を見上げる瞳は赤く人間に怯えている。 柚羅「大丈夫じゃ。私は喰ったりしない安心せい。」 少女「お姉ちゃんは、私が何なのかわかるの?」 柚羅「布で頭を隠しとるようだが、角の形が見えておるぞ?」 柚羅は、そう呟くと少女に手を引かれて人気の無いところに連れてこられた。 少女「お姉ちゃんは、鬼の子?」 その言葉と共に頭にかぶってた布を外した。 柚羅「とても綺麗な角だ。」 少女「えへへ……それ一お兄ちゃんにも言われたの」 柚羅「一お兄ちゃん?」 少女「うん! 何時も怒った顔しててね?こーんな顔してるの!」 柚羅に少年の顔まねをして最後に「でもね?凄く格好いいの!本物の鬼から私を救ってくれたの!」そう付け足した。
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