「NOTE」

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……これだ。 教師は何気なく言ってるつもりなんだろうが、正直心に深く突き刺さる。 俺だって好きで無能力者になったわけではないのだ、能力開発を受け最初の能力テストで、貴方は無能力者です。 なんて言われてやる気が出てくる訳がない、出てくるならそいつはドMか極度の負けず嫌いだろう。 とにかく、能力開発を受けたからにはその授業を受けなければならない、だが無能力者の俺には聞いていても無駄な知識にしかならずその知識を丸めてゴミ箱に捨て授業を終了させる。 これが俺のESPの授業を受けた後の習慣だ。 今回も無駄な知識にしかならず丸めて捨てようと脳を整理していると、俺の隣から声がかかる。 「今回は役に立ちそう?」 俺が無言で首を横に振ると、そいつは少しため息をしながら席を立ち上がり俺の席の前までの短い距離を早歩きで移動する。 移動するなりそいつは腰に手を置き、無い胸を張りながら片方の腕の人差し指で俺を指差し 「アンタ、そんなんだからいつまで経っても無能力者のままなのよ!?」 と怒鳴る。 「そんなん関係無いっての、もう無理なんだよ」 俺は無気力に答える、中学生から三年間必死に頑張ってきたが数値はピクリともしなかった、中学生ながらにして挫折を味わった瞬間だった。
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