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俺は瀬川 一輝(セガワ カズキ)、陸上部に所属し毎日汗水流している普通の高校二年生だ。
いや、普通と云うには少し無理が有るか……
他人より少し喋るのが苦手で、他人より少し表情筋が硬く、他人より少し目つきが悪い以外は至って普通の高校生だ。
……何も言わないでくれ。
悪い意味での三拍子が揃ってることは俺も分かってるから。
小・中学校共に、何とか一つでも変えようと努力をしてみたが、報われる事は無かった。
目つきの悪さは生まれつきだ。
整形でもしないと変わらないだろう。
笑顔になればソレもマシになるのではと表情筋を解すマッサージをしてみたが、目つきの悪さが強調される様なニヤリとした笑みしか作れなかった。
上手く喋れないのは、幼稚園の頃に喋り掛けただけで泣かれたのがキッカケだったと思う。
カウンセリングを受けてみようとすれば、カウンセラーにまで引きつった顔を向けられ、ショックでますます無口になった。
無口・無表情・悪人面。
この3つが揃う俺が社交的に過ごせるはずも無く、友達が居ないどころか不良に目を付けられ追いかけ回される日々。
幸い子供の時から走るのが好きだった俺は、足の速さと体力には自信が有ったし、現に今まで捕まった事は無かったが、だからと言ってコレは無いだろう。
初雪が降ったばかりの寒い日の夕方、俺は……
不良にバイクで追いかけ回されていた。
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