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俺は、バイクの音も不良の声も聞こえないのを確認すると、自販機でコーヒーを買ってベンチに腰を落ち着かせた。
そして、ボンヤリと考える。
俺が全く見知らぬ公園に居る理由。
それは、何かに導かれたとか異世界にトリップしたとかそんな厨二病臭いことでは無く、ただがむしゃらに走ってきたら辿り着いただけ。
当然どんな道を通ってきたかなんて覚えてない。
つまり、まさか、俺は、十七にもなって。
「迷ったのか……?」
俺の悲しみを秘めた呟きに返事など当然無く、涙が出そうになるが何とか堪える。
俺は、迷子という理由で泣いて良いのは10才までだと思ってるからな。
というか、何故俺がこんな目に遭わなくてはならないのか。
今日はいつも通りに学校に行き、たまに居眠りしながら授業を終え、放課後は部活に励み体操着のまま帰路についた。
そして学校を出て直ぐ、後ろから聞こえるエンジン音に振り向くと、バイクが俺に突っ込んできていて。
ギリギリ避けたかと思えば、そのバイクに乗っていた不良が何故か楽しそうに追い掛けてきて。
必死に逃げて今に至る、と。
つまり、あの不良がバイクで追い掛けて来なければ、俺は今頃家でゆっくりしていたはずだ。
……冷静に考えると腹立ってきたな。
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