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大体何なんださっきの不良は。
笑いながらバイクで追い掛けて来るなんて、気が狂ってるとしか思えない。
男なら正々堂々勝負しろよ。
……いや、落ち着け俺。それはそれで困るだろ。
俺、いつも逃げ切ってるから喧嘩なんて出来ないし。
「ハァー……」
今まで不良に追い回されながらも戦う術を全く身に付けなかった自分に、思わず溜め息を吐いてしまった。
そこでふと、視界の隅に黒い"塊"が有ることに気がついた。
その塊は20センチ程で、モコモコとしていて……少し動いてる様に見える。
生き物か?
割と動物が好きな俺は、確かめてみようとベンチから腰を上げたが、微かに聞こえてきた音に踏み出そうとしていた足を止めた。
耳を澄ますと、バイクのエンジン音と、先程の不良の物らしき声が聞こえる。
いや、まさかな。
もう学校を出てから30分は経ってるんだ。
例えさっきの不良でも、もう俺の事は追い掛けてないだろ。
「何処に居やがる瀬川一樹い゙ぃぃー!!」
って、追い掛けてる!?
しかも何故かフルネーム知られてるし!
「また……」
また、あの命懸けの鬼ごっこが始まるのか……
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