―出逢って、触れて―

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秋、9月の始まり。 わりと涼しい夜。 希望してた会社に入社してから2年ちょっと。 彼女とかそんな煩わしいモン作ってる余裕なんぞ無くて、 息抜きに遊ぶこともあるけど割り切った関係ばっかり。 後腐れ無いのが居心地も良くてラク。 別に遊び人じゃない。 仕事に支障が無い程度に一息つかないとやってらんねーの。 しかも最近は、企画だなんだってやたらとバタバタしてて、息抜きだってご無沙汰な状態。 まだまだやんなきゃいけないこと山程。 残業で終わらない仕事は家に持ち帰りが当たり前。 けどこの日は、残業よりもしんどくて面倒な上司も混ざった飲み会で。 時計の針は日付を跨(マタ)ごうとしてた。 「あ゙ー・・・やばい、飲み過ぎた。」 元々弱くは無い酒も、上司に煽られて馬鹿かってくらい飲みまくれば、それなりに代償はやってくる。 ネクタイを少し緩めて、深い溜め息。 吐きそうなのを堪(コラ)え、風に当たりたくて途中でタクシーを降りて徒歩で帰ってた。 車置いて来たから、月曜は電車で通勤だ。 ・・・明日が土曜で本当によかった。 それでも足元はしっかりしてて、2年前よりも更に酒に強くなっている自分に、感心していいのか呆れればいいのか・・・ その時だった。 「危ないってーこんな時間にー。」 「俺ら怪しい奴じゃないからさ。」 日付跨ぐその時まで、今夜の獲物を探し回るオス達の懲りない台詞が耳を刺激してきた。 200メートル離れた辺りはラブホ街という、狙い・狙われ願望がある奴しか溜まらない路地。 時間的にはまぁ、"アリ"なんだろう。 しかし気分が気分なだけに妙にイラッとくるタイミング。 電信柱に寄り掛かっているのであろう女を囲むように、2人の男が言い寄っている。 「・・・鍵と財布学校に忘れたから。なんとかしてくれるなら、別にいーよ。」 オイオイ、いいのかよ。 今時の若者ってすげぇな。 若・・・・・・・・・ ちょっと待て。 『・・・・・・・・・・・・がっこう??』
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