407人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
秋、9月の始まり。
わりと涼しい夜。
希望してた会社に入社してから2年ちょっと。
彼女とかそんな煩わしいモン作ってる余裕なんぞ無くて、
息抜きに遊ぶこともあるけど割り切った関係ばっかり。
後腐れ無いのが居心地も良くてラク。
別に遊び人じゃない。
仕事に支障が無い程度に一息つかないとやってらんねーの。
しかも最近は、企画だなんだってやたらとバタバタしてて、息抜きだってご無沙汰な状態。
まだまだやんなきゃいけないこと山程。
残業で終わらない仕事は家に持ち帰りが当たり前。
けどこの日は、残業よりもしんどくて面倒な上司も混ざった飲み会で。
時計の針は日付を跨(マタ)ごうとしてた。
「あ゙ー・・・やばい、飲み過ぎた。」
元々弱くは無い酒も、上司に煽られて馬鹿かってくらい飲みまくれば、それなりに代償はやってくる。
ネクタイを少し緩めて、深い溜め息。
吐きそうなのを堪(コラ)え、風に当たりたくて途中でタクシーを降りて徒歩で帰ってた。
車置いて来たから、月曜は電車で通勤だ。
・・・明日が土曜で本当によかった。
それでも足元はしっかりしてて、2年前よりも更に酒に強くなっている自分に、感心していいのか呆れればいいのか・・・
その時だった。
「危ないってーこんな時間にー。」
「俺ら怪しい奴じゃないからさ。」
日付跨ぐその時まで、今夜の獲物を探し回るオス達の懲りない台詞が耳を刺激してきた。
200メートル離れた辺りはラブホ街という、狙い・狙われ願望がある奴しか溜まらない路地。
時間的にはまぁ、"アリ"なんだろう。
しかし気分が気分なだけに妙にイラッとくるタイミング。
電信柱に寄り掛かっているのであろう女を囲むように、2人の男が言い寄っている。
「・・・鍵と財布学校に忘れたから。なんとかしてくれるなら、別にいーよ。」
オイオイ、いいのかよ。
今時の若者ってすげぇな。
若・・・・・・・・・
ちょっと待て。
『・・・・・・・・・・・・がっこう??』
最初のコメントを投稿しよう!