act.4

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東城は大きく変わった。 つい先日、師範代が変わったのだ。 東城学園を取り仕切っていた師範代…内博貴が、泰観の兄さんでもある石垣大祐にリコールされて、今は泰観の兄さんが師範代をしている。 あれは何の変哲も無かったはずの放課後だった。 突然、全校生徒を体育館に呼び出し、集会が始まった。 壇上には、師範代の内と泰観の兄 石垣の二人が立っていて、内は神妙な面持ちで全生徒に言った。 「これはとても異例な事ですが、簡潔に言う…。 本日をもって、わたくし内博貴は……師範代の任から降りる事となった!! つきまして、後継者として青龍会 石垣大祐を次期師範代とする!!」 師範代がそう宣言すると、少し間を空けて場内がざわめいた。 騒がしい中、内は深くお辞儀すると、一歩後ろに下がり石垣が代わりに前に出る。 「ご紹介に預かりました、私が新たに師範代に任命されました、石垣大祐です」 誰も、石垣の話を聞いていない。 俺の周りも 「師範代が代わる?」「俺達はどうしたらいいんだ」と口々に言ってて騒がしい。 それでも石垣は続けた。 「皆さん、納得がいってない様子ですが、師範代の交代は事実です。 いいですか? こちらにいる、【前】師範代の内は…、東城に産まれたものだけがなれる師範代を、西の地で産まれた者が師範代に就いていたんです」 石垣がそう言うと、ざわついた場内が静まりかえった。 西の地…… つまり、西条の人間って事か…。 「西条……」 隣で泰観が呟いた。 「皆さん、私に着いて来てください。 もう一度、古き良き東城の歴史を取り戻しましょう」 そう言い放つと、石垣が深く一礼して集会が終わった。
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