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東城は大きく変わった。
つい先日、師範代が変わったのだ。
東城学園を取り仕切っていた師範代…内博貴が、泰観の兄さんでもある石垣大祐にリコールされて、今は泰観の兄さんが師範代をしている。
あれは何の変哲も無かったはずの放課後だった。
突然、全校生徒を体育館に呼び出し、集会が始まった。
壇上には、師範代の内と泰観の兄 石垣の二人が立っていて、内は神妙な面持ちで全生徒に言った。
「これはとても異例な事ですが、簡潔に言う…。
本日をもって、わたくし内博貴は……師範代の任から降りる事となった!!
つきまして、後継者として青龍会 石垣大祐を次期師範代とする!!」
師範代がそう宣言すると、少し間を空けて場内がざわめいた。
騒がしい中、内は深くお辞儀すると、一歩後ろに下がり石垣が代わりに前に出る。
「ご紹介に預かりました、私が新たに師範代に任命されました、石垣大祐です」
誰も、石垣の話を聞いていない。
俺の周りも 「師範代が代わる?」「俺達はどうしたらいいんだ」と口々に言ってて騒がしい。
それでも石垣は続けた。
「皆さん、納得がいってない様子ですが、師範代の交代は事実です。
いいですか?
こちらにいる、【前】師範代の内は…、東城に産まれたものだけがなれる師範代を、西の地で産まれた者が師範代に就いていたんです」
石垣がそう言うと、ざわついた場内が静まりかえった。
西の地……
つまり、西条の人間って事か…。
「西条……」
隣で泰観が呟いた。
「皆さん、私に着いて来てください。
もう一度、古き良き東城の歴史を取り戻しましょう」
そう言い放つと、石垣が深く一礼して集会が終わった。
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