拾う

2/7
前へ
/75ページ
次へ
諒が驚愕している目の前で、少女は寝起きの瞳をこすり、ひどくのんびりと伸びをした。 少女の事は全く知らないが、その少女が纏っている制服には見覚えがある。諒が通っている高校のものだ。少女は中学一年生のような見た目をしているが、高校生らしい。 少女は切り揃えられた前髪を手櫛で空いて、腰までありそうな長い髪を両手ですくって背中に流した。制服の皺を正し、ようやく身繕いを終えると、灰色の瞳を固まったままの諒に向けた。 「おい、貴様」 凛とした声が呼ぶ。 しかし諒は非一般人との関わりを持たない主義であり、この時点でイン段ボールな少女は一般人の枠から十分にはみ出していた。 従って、非一般人な少女との関わり合いを未然に防ぐべく、諒は逃亡した。 .
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加