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諒が驚愕している目の前で、少女は寝起きの瞳をこすり、ひどくのんびりと伸びをした。
少女の事は全く知らないが、その少女が纏っている制服には見覚えがある。諒が通っている高校のものだ。少女は中学一年生のような見た目をしているが、高校生らしい。
少女は切り揃えられた前髪を手櫛で空いて、腰までありそうな長い髪を両手ですくって背中に流した。制服の皺を正し、ようやく身繕いを終えると、灰色の瞳を固まったままの諒に向けた。
「おい、貴様」
凛とした声が呼ぶ。
しかし諒は非一般人との関わりを持たない主義であり、この時点でイン段ボールな少女は一般人の枠から十分にはみ出していた。
従って、非一般人な少女との関わり合いを未然に防ぐべく、諒は逃亡した。
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