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「あ!貴様っ…わっ」
走り出した諒の背後から、慌てた声と段ボールの倒れる音が聞こえてくる。
気にはなるが、未来は死守せねばならない為諒は振り返らない。
「そっ、そこの某つたや帰りの貴様だっ、織崎 諒ーーっ!!」
まさかの名指し。思わず足が止まる。
何故か名前が知られている。これはこのままマンションに逃げ帰ってもポストから部屋を探し出されることは明確だ。
ならばここで早々に切り捨てた方が確実、と振り返る。
「悪いが俺はお前のようなやつと関わりたくな─…」
「ちょっと手を貸してくれ!」
少女が段ボールに入ったまま道に転がっていた。
諒は何も言わずに歩みより、少女を引っ張り起こしてやった。
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