思い出の丘

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部屋の隅っこ。 悠斗はそこに何かがあるかのように 一点を見つめる。 気まずいからだ。 深穂が空気を切り裂く。 「…悠斗って、意外とすんなりヒドイこと言えちゃうんだね。」 「……うん。でも…」 「うん、じゃないわよ! …私たち、付き合ってるんだよね?」 「うん。」 「私が悠斗のこと大好きだって、わかってるよね?」 「うん。でもさ…」 「帰る。…また明日。」 <ガチャ…バタン!> 悠斗はため息を吐く。 はっきりと自分の言いたいことが言えない、自分自身への苛立ちだ。 けれど、悠斗はちゃんと伝えたのだ。 もっとも、プライドの高い深穂には言うべきではない一言だったが…。
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