Einleitendes Kapitel.

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微かに感じる土の匂い。 手に当たる固い感触。 ハッと目を覚ませば、視界に飛び込んでくるのは、青い空、白い雲、…なんてものではなく。 視界いっぱいに映ったのは、断崖絶壁と、薄暗い森でした。 Einleitendes Kapitel. はいはいやあどうも初めまして。 望月琉架です。正直自己紹介なんてしてる場合じゃないんで割愛。 目が覚めたら薄暗い森、先が霞んで見えるほどに高い断崖絶壁に、あちこちから聴こえてくる獣の遠吠え。 よし、どうしてこうなったか(いくつか章を変えつつ)振り返ってみようか。 *** 人が居らず、少々廃れた神社の拝殿でのこと。 「5円×100回もお参りしたんだから、絶対お願い叶えてよね!」 雪解けの時期も間近に控えているものの、まだまだ肌を突くような寒さの残る冬の季節。 まるで雪解けもまだまだ先に思えるような寒さに、軽く身震いする。 こんな寒い日は、家に籠もりこたつを陣取ってぬくぬくとしていたいところだけど、そうも言っていられない。 私にとっては地獄とも言えるような受験シーズン。 周りの友達はどんどん推薦だAOだで受験に合格する中、ひとり一般で試験を受けることになった私は、 母に言われ明日に控えた試験に合格しますようにと神社に参拝しに来たのだ。 .
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