夢とはまさしく夢である

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そいつは俺の腕に、自分の頭を乗せて一声。 『にゃー』 と鳴いた。 声はどこかで聞いた、女の子の声だった。 俺はそのわけの解らない生物?を抱きしめて、勝手に納得する。 モバゲーで作ったアバターが出てきたのだと。 俺はそいつと手をつないで家から出た。 するとそこは、家の外ではなく見知らぬ土地だった。 かなり都会のようで、人や車が途切れることなく行き交っていた。 俺は普段から人混みが苦手で、いつも人が集まりそうなところからは避けていたのに。 徐々に気持ち悪くなっていき、耐え切れずに道端でしゃがんだ。 そんな俺を心配そうに涙目でみつめてくるアバター。 か、可愛い。 完全復活を遂(と)げた俺は、アバターを肩車して町を歩き出す。 アバターは高さ故か俺の頭をがっしり抱いて、楽しそうにしている。 こいつがいれば、どこでも行けそうな気がした。
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