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〔テッテレテッテーテーレテーレテッテレテッテーテッテッテー♪〕
車内にけたたましい電子音が響く。
携帯のアラームだ。
槙「ん…もう朝か…」
持ち主は槙だったようだ。
上半身を起こして眠そうな目で携帯を探し、アラームを止める。
槙「なんか変な夢見たな…」
軽く息を吐き運転席に行くと、ガリガリッと背もたれを上げて眠気の余韻に浸る。
槙は窓の外のぼんやりとした景色を見ながら物思いにふけり、ぼーっとし始めた。
少しすると、連動したかの様に広斗が目覚める。
まだ目が覚めていないのかキョロキョロと周りを確認し、ふと携帯の時計を見る。
デジタル化された数字が示しているのは午前6時30分。
広斗「……さっむ!!」
槙「あれ、起きるの速いじゃん」
広斗「うーん…昨日超寝たからな」
寝ぼけ眼を擦りながら広斗が言う。
槙達は昨日の夜遅く、車で予定も決めずにふらふらと出かけていた。
その間広斗はずっと寝ていたのである。
広斗「とりあえず窓開けよーぜ。タバコ吸いてぇ」
槙「たしかに」
助手席に広斗が移動したのを確認してから後ろの二人が起きないように配慮し、エンジンはつけずに窓を開ける。
遮断されていた空気が再び流動し、朝独特の冷たい外気が車内に充満した。
広斗「さっみーwwwてかタバコねぇしwww」
寝ている時に落としたのか、ガサゴソと座席の下を探している。
広斗「あったわwww」
槙「あったか」
広斗はケースから一本取り出し火をつける。
槙も自分のタバコをくわえてライターをカシャカシャしているが、いっこうに火が灯らない。
広斗「しょうがねーな、ほれ」
槙「サンキュー」
広斗からライターを貸してもらい、火をつけた。
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