三日月の口

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 ―――けたたましいクラクションの音。  それが、僕の意識が反転する直前の最後の記憶だった。  目を覚ますと、僕は真っ白な部屋にいた。どこまでも広がっていて、その全てが等しく白い、無色の部屋。  そもそも壁や仕切りが見当たらない無限の空間を部屋と呼ぶのは不適切な気もするが、なにか他の表現を僕は知らない。  だからここを部屋と呼んでも、特に問題はないだろう。大切なのは名称じゃない。中身なのだ。  説明のつかない状況を打破すべく、先ず僕は自分がどうしてこんなオカルトな部屋に居るのか考えてみる事にした。
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