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「じゃあ神様にお願いしてください
生まれかわる私に会えるように、また貴方を私の所へこれるようにと・・・・」
彼の人は、顔を少ししかめながら、薄く微笑みました。
わたくしは、どうしても捨てる事が出来ませんでした。
わたくしのまわりにいる、ふわふわと光る暖かいものの存在を・・・・・・・・。
その存在を否定したくないのです。
『静音・・・・・・・・神様を信じて・・・・僕と一緒にならないか?』
もちろん、信じております、その存在を・・・・。
ですが、わたくしの信ずる神様は、貴方の絵描く神様ではないのです。
最後まで、彼の人とわたくしの思いは相互したままでした。
彼の人は、わたくしとの婚姻の許しがもらえないと分かり、そのまま祖国にお帰りになりました。
ずっと、その日から祈りました。
彼の人の幸せを・・・・そして、わたくしは願うのです。
魂が彼の人のもとへ行くことを・・・・、海を越えて・・・・彼の人のもとへ・・・・・・・・。
祈り続けて、何日間か経ちました。
何度も何度も祈りを続け、次第に妙な声が聞こえて来るようになりました。
わたくしが彼の人に会いたいと祈るならば、
“ならば何故、今を一緒に生きようと思わない。
行く場所は違えど、今を一緒に過ごせばいいことではないか。”
と言いました。
彼の人の所へ魂を連れて行ってほしいと願うならば、
“来世も一緒に・・・・などと贅沢な考えがあるからいけないのだ。
好きならば、お前が変わるしかないのだよ”
そのように、声が振ってくるのでした。
わたくしは段々と意思の弱い自分自身に怒りを覚えるようになりました。
百日目の祈りの日・・・・。
“貫く愛がないから結ばれないのだ”
と聞こえました。
その言葉でわたくしの思いは固まりました。
そしてわたくしは、来世や彼の人の信ずる天に行くことよりも、彼の人の傍にいることを決心しました。
彼の人を信じていこうと・・・・。
わたくしは御家を飛び出し、彼の人の待っ大陸へ旅立ちました。
そして・・・・、途中で船が事故にあい、わたくしは亡くなりました。
どうぞ神様・・・・彼の人の待っ大陸まで魂を飛ばしてください。彼の人の幸せを見届けたいから・・・・。
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