序章

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  (……ここはどこだろう?)  息を切らして彼女は思った。  もう逃げ出してどのくらい時間が経つのだろう?  と。  その悲鳴に呼応するように。 「おい! いたぞ!」 「あそこだぁっ!」  幾色もの声が叫ぶ。  それはスラムのようなこの場所でこだまのように反響してゆく……。  その残響が続く中。  肩や頭を上下に激しく揺らす少女。慌てて小さくなり身を潜める。  駆ける!  走る!  黒いスーツの男達。  逃すまいと鬼気迫る気迫が伝わってくる。  まるでそのさまは訓練されたドーベルマンのようだ。
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