序章

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   集中力を極限にして、ただ目的の犬に集中する。  周りの音も聞こえぬよう景色も視えぬように。  集中するとはどういう事か? その様子は改めてそれを考えさせる程だ。  その刹那、少女の世界は暗転してゆく――  見据えられた犬はゴミ漁りに夢中だった。  真っ黒な犬。  その全身は漆黒と呼べよう。  時間にしてどれくらいだろう? 少女の身体を優しい光が包み始める。  その時、異変に気が付いて警戒をした犬が少女を見据え牙を剥く。  そして上がる――獣の吠候! 「ヴヴウゥゥゥッッ! ヴアヴゥゥゥッッーーッ!」 「――かまわない!」  少女はそう叫んで。  握りしめた拳を開いた瞬間――力を解放する。  少女の世界。  “仮想”と“現実”が激しく交差をしていく。 「……ウゥゥ~」  低い唸り。 (……私だ。……なんとか成功したみたい……)  夜の闇に二匹の犬。  一声吠えると一匹が走り去ってゆく。
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