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「それよりもだ。早く本部へ連絡しろ! サーチャーを申請する! ……念の為『マリオネット』も頼んでおけ!」
「ま、マリオネットですか!?」
「そうだ。相手は能力者……。万全と全力を尽くす。――わかったら急げ!」
「……りょ、了解しました」
叱責された部下はわたわたと慌て本部に連絡を取りに走る。
「……――どいつもこいつも使えない!」
眉根を寄せてそう言いながら懐に手を伸ばし取り出した煙草に火をつけ――
その時だった。
携帯電話が狂ったように音を鳴らす。液晶画面に目を走らすベレー帽の男。
(当夜様からだ。……参った)
渋面を作り今度は眉を下げて。男は心で舌打ちをした。
電話を無視するわけにもいかぬと考え通話ボタンを押す。その指先は微かに震えているようにも見える。
「……ハイ、こちらチームクローバー。総長、森野であります」
電話の受話口から、周りに漏れる低い声が響く。
『……見つかったかね?』
余裕のある、ゆったりした口調で。
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