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「そうね。そして実験過程で月代が恋慕みたいなくだらない情でオリジナルとその弟。そして異能者の少年を連れて逃げ出したわ」
「……なるほど。十年前からあんたらは因縁の相手ってわけか」
「因縁? そんなに大層なものじゃないと思うけど?」
意味が分からないとでも言いたげに首を傾げて。
「そもそもワタシ達に全ての掌握などは出来ないし、するつもりもない。だからジェネシスにもその行動は読めなかった。いや……過去数例を見る限り、もしかしたらそれは大きな意志が介在する宿命なのかもしれないわ」
そこで一度言葉を止めて、今度は弾むように続ける。
「当然、ワタシ達は彼女に追っ手を差し向けた。けど、その現場で第二段階へ覚醒したオリジナル。チカラを駆使して月代と弟を守ろうとする世羅紗耶香。予想外の抵抗にはずみで彼女を殺めてしまう。だから《Metamorphose》はまた数百年失われるはずだった」
「…………、」
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