第19章 世界を傾ける力

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  「死者の複製や世羅久遠くらいの能力ならともかく、世羅沙耶香クラスの《Metamorphose》やアナタの《Temporal Manipulation 》。他幾つかの神域の力をワタシ達が創る事は出来ない。いえ、正確には行えないし普通は不可能」  ……なるほど。コイツらにはコイツらの都合がある。  どんな理由だかは知らないが、仮に再生技術があったとしても俺達の身体に宿るような能力の複製は創れないって事……。  考える俺の耳にレイチェルの楽しげな声が届く。 「だからこそ、ジェネシスは彼らをあえて逃がしたそうよ。『月代は優秀な研究者。そして人の執念はときに全てを凌駕する』今となってはジェネシスの金言ね」 「……全部、お前らが仕組んだって言いたいのか?」 「それは違うわ。全てはあるがままに。ワタシ達が用立てするのは所詮あらすじであり大筋。だから細部は調整出来ないし、起きる出来事は未知数とも言える。そして今回の結果は想像以上かな?」 「……想像以上」 「ええ。月代はオリジナルの肉体を確保。信じ難いけど能力ごと再生にも成功した。そして進化の理論を確立。たった十年で神域に至る、と。これで、ようやくワタシは《Metamorphose》を連れて帰り任務の全うをする。再び方舟が調査をするに至るってわけ」
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