第19章 世界を傾ける力

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   言ってることは半分も理解できなかったが幾つか解ったことがある。  十年潜伏していたにも関わらず昨日の事のように言う冷めた感情とそのスケール。  そしてそれらに見合うだけの、支配者然とした話し方。  こいつが月代の言っていた敵の一人で、俺とカフカにとっても同様の奴だって事。 「……要するに、お前は俺達の敵ってワケだな?」  思うままに言った言葉に対して即座に返答があった。 「敵? そんな小さな概念じゃないわ。世界の為ってところ。月代は用が済んだから廃棄したわけ。そしてアナタは稀に見る異能者。抹殺ではなく回収の命令が出た。それだけの事よ」  廃棄……。  こいつのセリフは当たり前のことを言うように吐き出される。  そして、やると言ったらやるんだろう。  動かぬ身体を調整して勝てそうな奴でもないが、もうやるしかない。  既に異能も使い過ぎている。搾り出しても後一、二発って所だろう……。  それを超えれば制御不可能になって、きっと壊れる。  だが、さっきのルークとレイチェルの攻防を見て俺の腹は決まっていた。
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