第19章 世界を傾ける力

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   最後に抵抗をする場所はひとつしかない。  煩い耳鳴り。  激しい頭痛。  込み上げる吐き気。  頭蓋の内側は混沌が極まって異常事態だ。  だが、そんなのは関係ない。  気付かれぬように呼吸を整え集中力を高めていく。  目に映る景色がどんどん緩慢になって。色彩が大きく失われ始めた。  脳みそが極限を超えた負荷に対して抗議を上げるように啼いた。  破裂しそうな軋み、  暴れる破壊衝動。  壊れていく理性。 ――――関係ない!  今、この場の全てを終わらせてやる! 「アナタだけならしばらく回収はなかったそうよ。ひょっとしたら生涯なかったかもしれない。けど《Metamorphose》が一緒。ついでという事じゃない? 次の目覚めはきっと研究所ね」  金髪が言葉を発した瞬間に極限まで高めた異能が身体中に満ちるのを感じた。 「――らぁっ!」  レイチェルの右肘から先、腕の装甲を掴む。全力で握り締める。 「……何の真似?」 「ずっと見ていた。お前の攻撃はここからだけだ。これさえぶっ壊せば勝機はある!」 「…………」
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