第19章 世界を傾ける力

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   全力で時間を捻じ曲げ、とにかく壊れる事。止まることだけを考え続ける。  その瞬間、握った装甲に鈍い光が走った。 「がっ!?」  激しい反発が両手にかかる。あっさりと握った手の平が弾き飛ばされた。  渾身の力を込めて掴んだにも関わらず、空中に吹き飛ばされた両手。  僅かにしか触れなかった装甲は大して異能を注ぎ込めず万歳のように両手が宙を舞う。  なんだっ!?  思う暇さえなく、がら空きになったボディに黒色の左拳が炸裂する。 「ごおっ」  強烈な一撃に上体が沈みそのまま膝をついた。  上から声が落ちてくる。 「今ので三時間強の時間が進んだらしいわ。ワタシのデータにはそう表記された」  悶絶する身体。気力を振り絞って顔を上げ、金髪がサラリと彩る横顔を下から見つめる。  レイチェルは左の手首に巻かれた時計を眺めていた。
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