第19章 世界を傾ける力

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   凄まじい速さで大気が光を帯びてカフカの周りを旋回し始める。  それを見て即座に動いたレイチェル。カフカへと向けた銀色の装甲。その切っ先から躊躇いなく閃光を発射した。  金色のシャワーが散開して容赦なくカフカを襲い出す。  だが――その輝きさえ、カフカが飲み込んでいく。 「……遅かったか」  レイチェルが悔しそうにそう呟いた。  その時だった。  ここへと来る前に見たのと同様に。光の柱がカフカを中心に天地を引き裂くがごとく走り、四方へ迸る。  白い輝きが狭いフロアをあっという間に侵し尽くす。  その時間は一秒にも満たなかったに違いない。  咄嗟に強く閉じた瞼。改めて開いた先に、再び現れた光の存在がじっと金髪を睨んでいた。
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