第19章 世界を傾ける力

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   そのまま、レイチェルへと一歩足を踏み出す。  輝く銀髪がゆらりと揺れた。  あれは、さっき俺を追い詰めた規格外の存在。月代が超越者と呼んでいた者。  心底から恐怖が蘇る。  あの時は無我夢中でやり合ったが、あんなのと向きあっていたのか……。  恐る恐るレイチェルを目の端で見れば、冷徹で飄々とした顔に心なしか焦りを浮かべている。 「ちぇっ……これは失敗。順番を間違えたか」  そう言ってすぐ自らの右腕を眺めたレイチェル。 「仕方がない。まずはこちらから確保、ね」  そのまま構えた装甲。先端の照準をカフカへと向けた。  オレンジ色のたぎる熱線が急速に切っ先へと収束する。  対して、ゆっくりと歩くカフカも右手を前方に構えた。  瞬間、  二人の中央で互いの放った力が雷鳴を思わせる凄まじい音を轟かせぶつかった。
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